資料作成に追われて、商談に行けない。
そう感じている営業担当者は少なくありません。
提案の質を上げようとすれば、得意先の情報収集、データ分析、提案書の組み立てに、これまで以上の時間が必要になります。しかし現実には、その時間がない。
問題は営業担当者の能力ではなく、担当者を支える仕組みがないことです。
このページでは、食品メーカーの営業担当者が商談に集中できる体制のつくり方を解説します。
1.営業サポートの役割を、再定義する
営業担当者の提案力が上がるほど、その準備に必要な時間も増えます。得意先のビジネスを理解し、売場の課題を見つけ、データに基づいた仮説を立てる。その一つひとつに時間がかかります。
しかし多くの食品メーカーでは、その準備を支える仕組みが整っていません。営業サポートや営業企画という部署があっても、注文処理や売上集計といった「後処理」に追われているケースがほとんどです。
営業担当者が商談に集中できる組織をつくるには、営業サポートの役割そのものを見直す必要があります。
1-1. 「後処理」から「先回り」へ
一般的な営業サポートは、営業担当者が動いた後の処理を行う存在です。注文書の入力、会議用の売上集計、資料の印刷。これらはすべて「商談が終わった後」の仕事です。
しかし本来の営業サポートは、商談の「前」に動く存在であるべきです。市場の情報を整理し、POSデータから課題を見つけ、提案書の土台をつくる。営業担当者がバイヤーと向き合う時間を最大化するために、先回りして準備を整える。その役割への転換が、組織全体の提案力を底上げします。

1-2. 営業担当者と並走する、カテゴリーの専門家として
私たちが目指す営業サポートの姿は、営業担当者と並走しながらカテゴリー全体の課題を一緒に考える存在です。
市場や得意先のPOSデータを読み解き、売場の変化を捉え、「今この得意先に何を提案すべきか」という仮説を営業担当者と一緒につくる。営業担当者が商談でバイヤーと対話している間、その商談を成功させるための情報と論理を裏で支える。
この役割を担う営業サポートがいることで、営業担当者は「売場を語る提案」に集中できるようになります。
2.なぜ、営業サポートは機能しないのか
「営業サポートを配置したが、期待した成果が出ない」「いつの間にか雑用係になっている」という声は少なくありません。原因は人材の能力ではありません。営業サポートに求める役割が明確になっていないことです。よくある3つの理由を整理します。
理由1:役割が定義されていない
「営業を支援する」という曖昧なミッションだけで配置すると、営業サポートは目の前にある雑務をこなすことが仕事になっていきます。データ分析や提案支援という本来の役割に手が回らないまま、「何でもやる人」として定着してしまいます。何をやるかより「何をやらないか」を先に決めることが、役割定義の出発点です。
理由2:拠点ごとにやっていることが違う
東京支店の営業サポートはPOS分析をしているが、大阪支店は見積書作成しかしていない。こうした状態では、組織としてのノウハウが蓄積されません。誰がやっても同じ質のアウトプットが出る標準化がなければ、営業サポートの力は個人の能力に依存したままになります。
理由3:分析の前にデータ整理で力尽きる
分析しようにも、商品マスターが整備されていない、過去の商談履歴が残っていないというケースは多くあります。本来やるべき分析や提案支援に辿り着く前に、データの整理だけで時間を使い切ってしまいます。基盤が整っていなければ、どれだけ優秀な人材を配置しても力を発揮できません。
3.AIを活用した、新しい営業サポートのかたち
営業サポートの役割が「先回りして準備を整える」ことだとすれば、AIはその力を大きく引き上げる道具になります。情報収集、仮説の検証、データの読み解き。これまで時間がかかっていた作業を効率化することで、営業サポートはより本質的な支援に集中できるようになります。
AIの活用は、営業担当者と営業サポートの両方に広がっています。そしてもう一つ重要な役割があります。営業サポートが社内でのAI活用の使い方を整理し、営業担当者に展開していくことです。「どう使えば商談の準備が効率化できるか」を営業サポートが先に試し、型にして広げる。それも営業サポートの「先回り」の仕事です。
3-1.得意先の情報収集を効率化する
商談前の情報収集は、質の高い提案の出発点です。しかし得意先の決算情報、ニュース、商圏データ、競合の動向を手作業で集めると、それだけで半日かかることがあります。
AIを使えば、得意先に関する情報を短時間で収集・整理することができます。営業担当者は商談前に必要な情報をすばやく把握でき、バイヤーとの対話に集中できます。営業サポートはこの情報収集プロセスをフロー化し、誰でも同じ手順で情報を揃えられる仕組みをつくります。
3-2.提案の仮説を、AIと壁打ちする
提案書をつくる前に「この仮説は正しいか」「バイヤーはどう反応するか」を一人で考えるには限界があります。AIを対話相手として使うことで、仮説の抜け漏れを確認したり、別の切り口を試したりすることができます。
営業担当者が商談前にAIと壁打ちすることで、提案の論理が整理されます。営業サポートはこの壁打ちの使い方を整理し、「どんな問いかけをすれば有効な答えが返ってくるか」というノウハウを社内で共有します。
3-3.POSデータの読み解きを、AIで加速する
POSデータから「何が課題か」を見つける作業は、経験とスキルが必要です。しかしAIを活用することで、大量のデータから傾向を読み解く時間を大幅に短縮できます。
営業サポートがAIを使ったデータ分析のテンプレートを整備することで、経験の浅い担当者でも一定の質で分析できるようになります。営業担当者はそのアウトプットをもとに仮説を立て、商談に臨む。このサイクルが回り始めると、組織全体の提案の質が底上げされていきます。
4.3つのステップで、提案支援の仕組みをつくる
「先回りする営業サポート」をつくるには、正しい順序があります。役割を定義し、基盤を整え、実務を通じて定着させる。この3つのステップを踏むことで、営業サポートは後処理係から提案支援の専門家へと変わっていきます。
ステップ1:役割を定義する
まず現状の業務を可視化し、「営業担当者がやるべきこと」「営業サポートがやるべきこと」「やめるべきこと」を仕分けます。曖昧だった役割を明確にすることで、営業サポートが本来の仕事に集中できる環境が生まれます。何をやるかより、何をやらないかを決めることが先です。
ステップ2:データの基盤を整える
商品マスター、販促カレンダー、商談フォーマット。これらを全社共通の形に整えます。どの拠点でも、誰が担当しても、同じデータを見て同じ質の提案書がつくれる状態をつくることが、組織力の土台になります。AI活用もこの基盤があってはじめて力を発揮します。
ステップ3:実務を通じて、型を定着させる
役割と基盤が整ったら、実践です。私たちは貴社の営業サポートと一緒に実際の商談データを分析し、提案書をつくります。やり方を教えるだけでなく、一緒に手を動かして成果物をつくることで、スキルが現場に定着します。
5.伴走にこだわる理由
営業サポートの仕組みづくりは、マニュアルを渡すだけでは完結しません。企業ごとに扱うデータも、商流も、社内のルールも異なるからです。
貴社の実際のPOSデータを一緒に分析します。貴社の商品マスターを拝見し、貴社に合った分類基準を一緒に見つけます。営業サポートが自分たちで動けるようになるまで、私たちはチームの一員として実務を共に進めます。
「型を渡して終わり」ではなく、「型が現場に根づくまで」が私たちの仕事です。この伴走スタイルが、これまで多くの食品メーカーで営業サポートの立ち上げと定着を支えてきた、ダブルチームの強みです。
得意先から相談される営業を、仕組みで支えましょう。
「営業サポートを立ち上げたいが、何から始めればいいかわからない」「既存のサポート部隊をもっと活かしたい」そうお考えであれば、まずは現状をお聞かせください。
※ ご相談いただいても弊社からの営業は一切いたしません。
「なぜ、うちの営業は変わらないのか」 その答えが、この一冊にあります。
得意先から相談される営業がどう育つのか。
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