
第1回から前回まで、耳が痛くなるほど「数字」と「ロジック」の話をしてきた。 しかし、連載の最後に一つだけ、真実を伝えなければならない。
「完璧な提案書を持っていても、嫌われたら売れない」 ということだ。
ロジックは、商談のテーブルに着くための「最低条件」に過ぎない。 最終的に、バイヤーは「人」から買う。
人は感情で動く生き物だ。 「この人から買いたい」と思わせる熱量がなければ、どれだけ精緻なロジックも意味をなさない。
数字に強い営業には、共通する「3つの熱意」がある。
3つの熱意がバイヤーを動かす
1. 即レスという「誠意」
「後で返そう」と思っていないか? レスポンスの遅さは、「あなたの優先順位は低い」という無言のメッセージだ。 逆に、即レスは「あなたを大切に思っている」という最強のメッセージになる。 即レスは、最もコストのかからない信頼獲得手段だ。
2. 明るさという「機能」
食品は、人を笑顔にする産業だ。それを売る人間が暗い顔をしてどうする? バイヤーは激務だ。日々、数字とクレームに追われている。 そんな中やってくるあなたの「明るさ」は、相手の疲れを癒やし、前を向かせるための重要な「機能(スペック)」の一つだと心得よ。
3. 前向きさという「推進力」
トラブルが起きた時、「どうしましょう」と暗く相談するな。 「こう解決します!」と明るく提案せよ。 後ろ向きな営業は問題を大きくするが、前向きな営業は問題をチャンスに変える。 その推進力が、周囲を巻き込み、不可能を可能にする。
熱意は伝染する
これまで語ってきた「数字への執着」も「PDCA」も、その根底にあるのは「もっと良くしたい」という熱意だ。
熱意は伝染する。 あなたの熱量が上がれば、バイヤーの熱量も上がり、売場の熱量も上がる。 それが結果として、大きな数字となって返ってくるのだ。
ロジックで武装し、愛嬌で突破する。 冷徹な計算と、燃えるような熱意を併せ持つ。
それが、数字を作るプロが持つべき人間性だ。
次回予告
誰もがAIを使う時代に、あなたはAIをどう使っているか。調べ物とメール作成だけで止まっているとしたら、もったいない。次の連載では、あなたがバイヤーと向き合ってきた経験にAIを掛け合わせる。その可能性を探ります。