
ピンチをチャンスに!得意先との関係再構築をどのように進めますか?
その日の朝、本社の会議室に伊藤部長、藤原課長、角井さん、そして丸尾くんの4名が集まった。得意先との関係悪化が懸念される中、チームは“ピンチをチャンスに変える”ための新たな一手を検討していた。
伊藤部長から、これまでの経緯が説明された。佐藤さんの急な退職により、進行中だった複数の商談について十分な引き継ぎができていなかったこと。その結果、ハトー屋の山葉バイヤーが計画を立てられずに困っている状況になったこと。「今回の件は、佐藤さん個人の問題ではない」と伊藤部長は言った。「急な人事異動に対応できる引き継ぎシステムが、我々になかった。これは会社の体制の問題だ」
個人任せから脱却!営業トラブルをチームで解決する信頼回復の一歩
角井さんも、自身の経験を踏まえて意見を述べた。「MAX食品では、定期的な人事異動があるため、情報の共有化と標準化が進んでいました。でも、異動が少ない当社では、どうしても個人に情報が集中してしまう。これは当社の課題ですね。」
伊藤部長は、今回の問題を「情報管理の改善と、新たな関係構築のチャンス」にしようと前向きな姿勢を示した。「まずは、現状で何ができていて、何ができていないのか、そして今後どうしたいのか、この3点を整理する必要がある」と藤原課長が提案した。

4名で徹底的に議論した結果、営業現場でよく起こる「引き継ぎ情報不備」や「得意先対応のトラブル」をチームで乗り越えるため、ハトー屋との関係再構築プロジェクトを始動。今後の取引を円滑に進めるため、まずは情報整理・現状把握から着手することが決定した。
- 情報の再整理と現状把握(佐藤さんからの追加情報収集)
- ハトー屋への状況報告と対応方針提示
- 上司を巻き込んだ関係構築(会社としての誠意を示す)
- 中長期的な情報管理体制の構築(引き継ぎプロセスの標準化)
これらのステップを「プロジェクト堅牢盤石(けんろうばんじゃく)」と名付け、営業現場で実践できるプロジェクト推進術として、具体的な計画立案を進めていくことになった。
「丸尾、今回の件は君にとって非常に大変な経験だと思うが、これを乗り越えれば必ず大きな成長に繋がる。会社としても全力でサポートする。」伊藤部長からの力強い言葉に、丸尾くんは身が引き締まる思いだった。
戦術思考で進める得意先関係との再構築プロジェクト
会議の終盤、角井さんが言った。「これらのステップを進めるにあたって、まずは『戦術思考(せんじゅつしこう)』で具体策を考えていく必要があるわね。」
「戦術思考…? それはどのような思考でしょうか?」 丸尾くんは聞き慣れない言葉に首を傾げた。「戦術思考というのはね、目的達成のために、今持っているリソース(人材、時間、予算など)を最大限に活用して、どのように具体的な行動をとるかを考える思考法なの。」
「今回のハトー屋さんの件で言えば、目的は『引き継ぎ情報の整理と新たな関係構築』よね。そのために、与えられた時間や自分たちのチームの人数、使えるデータなどを考慮して、どのような手順で、誰が、何をするのか、具体的に落とし込んでいく。闇雲に動くのではなく、限られた条件の中で、最も効果的な打ち手を考えることよ。MAX食品では、プロジェクトを進める際に必ず戦術思考を意識していたわ。リソースが限られている当社ではより重要な思考法だと思うの。」
角井さんのロジカルな説明に、丸尾くんは感心した。問題を責任のなすり合いにするのではなく、建設的に解決していくことの重要性を改めて学んだ。
「では戦術思考を取り入れて、具体的な計画を作り込んでいきましょう」と藤原課長が促した。

計画を作り込んでいく中で、藤原課長から重要な提案があった。「○○だろう、と推測だけで進めるのではなく、必ずハトー屋側(山葉バイヤーや卸の鈴木さんなど)の意向を確認する『意向確認』のステップを入れよう。」これは、得意先を一方的に説得するのではなく、彼らの困っている状況を理解し、一緒に解決策を作り上げていこうという姿勢であり、非常に良いアプローチに思えた。
情報整理と関係構築への道のりは決して簡単ではないが、チーム一丸となって取り組んでいけることに、丸尾くんは心強さを感じていた。
《この物語の学びを、貴社の力に》
ピンチをチャンスに変えるのは、個人の頑張りではなくチームの戦術思考です。伊藤部長が示したのは、問題を責任のなすり合いにせず建設的に解決していく姿勢でした。貴社の営業マネージャーは、トラブルをチームで乗り越える環境を作れていますか。
丸尾くんと一緒に、もっと深く学びたいあなたへ
この物語の続きは、書籍でお楽しみいただけます。
引き継ぎトラブル、バイヤーとの関係再構築、組織を動かす卸連携、そして上層部を巻き込んだトッププレゼン。丸尾くんが担当した本部で直面したリアルな壁とチームで乗り越えるプロセスを、物語を通じて体系的に学べる一冊です。
アカウントマネジメントの考え方と実践プロセスが、現場で即活かせる形で凝縮されています。
次回予告
プロジェクト堅牢盤石の大枠は決まったものの、具体的な進め方に悩む丸尾くん。そんな彼に、角井さんが大手メーカーで実践される**「アカウントマネジメント」**という体系的な営業プロセスを伝授する。信頼回復に向けた具体的な4つのステップとは? そして、丸尾くんはこのプレッシャーを乗り越えられるのか?
