
売場の見方、情報の生かし方を知っていますか?
ラップアップが終わると角井さんはエンジンをかけ、営業車を駐車場からゆっくりと出していきました。
丸尾くんは、助手席に座りながら、今日の商談の内容を反芻していました。
「初めての商談…緊張したけど、良い経験になったな…」
角井さんは、次の予定について何も話さないため、丸尾くんは、これからどこへ行くのか少し疑問に感じていました。
しばらく車を走らせると、角井さんはハッピーチェーンの店舗駐車場に入っていきました。
「あれ? 角井さん、帰らないんですか?」
丸尾くんの質問に、角井さんはパーキングブレーキをかけながら笑顔で答えました。

商談後、なぜ店舗へ向かうのか?
「これから、ストアチェックよ。商談と同じくらい重要なルーチンワークなの」
「えっ? ストアチェックですか?」
丸尾くんは、意外そうな表情で角井さんを見つめました。
「そう。商談で得た情報を確認し、新しい情報を得るために、ストアチェックは必要なの。特に、今日は新商品『うまフリ』の販売状況を自分の目でチェックしたかったの」
角井さんは、そう言うと、早速車を降りて、店舗の中へと入って行きました。
バックヤードで入店手続きの仕方を教わり、店舗に入ると角井さんは真剣な表情で売場をくまなく観察し始めました。
売場で見るべき「競合比較」の4つの視点

「丸尾くん、見て。私たちの『うまフリ』、あのエンドで競合商品の隣に陳列されているでしょう? 競合商品と比較して、パッケージデザインや商品の見え方、POPの有無やPOPの内容など、売場演出にどんな違いがあるか、注目してみましょう」
角井さんの言葉に促され、丸尾くんも真剣に売場を観察します。
「…そうですね。 競合商品の方が、パッケージがカラフルで目を引きます。価格も少し安いですね…」
「そうね。 価格の違いは大事なポイントよ。価格競争力は販売実績に大きく影響するわ。でも、それだけで売上が決まるわけではないの。もう一度エンドを見て、陳列場所、商品のフェイス数にどんな違いがあるかな?
こうした事も販売実績に大きく影響するの。これらの要素を総合的に把握することが重要よ」
「確かに、競合商品の方が多くのお客さんが来る方向に面して陳列されており、うまフリよりもフェイス数も広く取られていますね」
「そうね。これだと向こうからくるお客さんはうまフリに気がつかないでしょ」
確かに、後ろを振り返りながら買物をしている人はいないもんなぁ。丸尾くんはその姿を想像すると笑ってしまいました。
その後も角井さんは、一つひとつの売場を丁寧にチェックしながら、丸尾くんに説明します。
さらに角井さんは、店舗スタッフに声をかけ、お客様の声や販売動向などを丁寧に把握していました。
ここで質問です
売場は情報の宝庫です。あなたは、定期的にストアチェックをしていますか?
「買い物かご」から市場を読み解く
「丸尾くん、ストアチェックの目的は、 バイヤーとの商談で得た情報の確認だけではないの。 お客様の購買行動を直接観察して市場動向を肌で感じることも重要なの。例えば、何人かお客様の買物かごを見て、どのくらい商品が入っているかを確認するだけでも購入点数が多いのか少ないのかある程度わかるようになるのよ。ストアチェックで得たリアルな情報は今後の販売戦略を検討するうえで大事な情報になるわ」
角井さんの言葉に、丸尾くんは深く頷きました。初めてのストアチェックで、営業活動における現場の重要性を改めて認識した丸尾くんでした。
《この物語の学びを、貴社の力に》
売場は「情報の宝庫」。しかし、何を見るべきかを知らなければ、ただ歩き回るだけで終わります。角井さんが丸尾くんに教えたのは、競合比較・陳列比較・購買行動の観察という、現場でしか得られない情報の見つけ方です。貴社の営業担当者は、ストアチェックで何を見て、何を次の商談に活かせているでしょうか。
丸尾くんと一緒に、もっと深く学びたいあなたへ
この物語の続きは、書籍でお楽しみいただけます。
丸尾くんが現場でぶつかるリアルな壁と、角井さんの的確なアドバイス。物語を通じて、食品メーカー営業の基本から実践までを体系的に学べる一冊です。
日々の商談準備、ストアチェック、提案書作成、ラップアップまで、現場で即使えるノウハウが凝縮されています。
次回予告
翌朝、角井さんは、丸尾くんにあるトレーニングを課しました。一体どんなトレーニングなのでしょうか?
