「800字の仕事術」新シリーズ 営業✕AI 第1話「もったいない:調べ物とメール作成だけでは、もったいない」アップしました。〜12話までAIとの付き合い方についてお送りします。お楽しみに☝️

中級編 第2話【引き継ぎ】得意先情報がブラックボックス化!?情報共有の課題

 引き継ぎに必要な情報とは?

本社・広域営業部への異動が決まってから、残された時間は2週間。慌ただしく自分の業務引き継ぎが始まった。サンライズチェーンをはじめ、これまで担当してきた得意先のリストアップ、現在の取引状況、仕掛中の案件、過去の商談履歴…。引き継ぎに必要な情報は多岐にわたる。

「そういえば、引き継ぎに必要な情報ってなんだろう…」

改めて考えてみると、何が必要で、何が不要なのか、明確な基準がないことに気づいた。
日々の業務の中で蓄積してきた得意先の情報やバイヤーさんとの関係性は、ほとんどが自分の頭の中にしかない。簡単なメモはあっても、誰が見てもすぐに理解できるような資料にはなっていない。

発覚!引き継ぎを阻む「情報のブラックボックス」

「これって、得意先とどんな関係を構築できているのかがブラックボックス化されているってことだよな…」

もし自分が急に担当を外れることになったら、後任の人はゼロから関係を築き直さなければならない。
これでは、会社として得意先との継続的な関係を維持していくのは難しいのではないか。
異動が決まったことで、今まで見えていなかった社内の様々な不備が気になり始めた丸尾くんだった。

引き継ぎ資料の作成に困った丸尾くんは、一昨年この支店から本社に異動になった角井さんにメールで連絡を取ってみることにした。

「角井さん、お久しぶりです。この度、本社広域営業部への異動が決まり、現在引き継ぎを進めています。引き継ぎ資料の作成に困っているのですが、角井さんが異動された際は、どのような情報を引き継がれたか教えていただけますでしょうか?」

しばらくして、角井さんから返信があった。

「丸尾くん、異動おめでとう!本社で一緒に仕事ができるのを楽しみにしているわ。引き継ぎ資料のことだけど、私は前職(MAX食品)を参考に、普段から得意先情報ファイルにまとめていたの。だから、それを整理して引き継いだわ」

「え…、前職を参考に…」

そうか、角井さんは大手メーカーから転職してきたんだった。
MAX食品では、営業担当者の育成システムや営業活動の標準化が進んでいたのだろう。
自分は、丸閥食品に入社してから、個別のスキルは教わったが会社の仕組みみたいなことは教わった記憶がないことに気がづいた。

「教わってないなぁ…」と少し落ち込みそうになったが、続いて角井さんから得意先カルテと書かれたファイルが送られてきた。改めて角井さんの持つ知識や経験の幅広さ、そしてそれを自社の現状に合わせて活用しようとする姿勢に感心した。やはり角井さんはすごい人だ。

担当者変更に対する、現場の「リアルな声」

翌日から、担当得意先や卸さんへの異動の挨拶と引き継ぎが始まった。
これまで築いてきた関係性のおかげで、得意先の方々は温かく労いの言葉をかけてくれたり、お礼を言ってくれる方もいた。

帳合のセールスさんからは、「後任の方に、諸条件などをきちんと引き継いでおいてくれよ」と念を押された。

やはり現場では、担当者が変わることで取引がスムーズに進まなくなることを懸念しているのだ。

中には、異動の経緯や後任が誰になるのかなど、根掘り葉掘り情報収集をしてくる競合メーカーの営業もいた。
営業は情報戦だとは聞いていたが、改めて実感させられた。

引き継ぎはほぼ1週間で無事終了。来週からは新しい赴任地である本社での引き継ぎが始まる。

一つ気がかりなのは、丸尾くんの異動に伴う支店の減員だ。
丸尾くんの補充はなく、支店の営業担当者は1名減ることになった。
日々の業務に加え、丸尾くんが担当していた得意先のカバーもしなければならない支店のメンバーのことを考えると、少し心が痛んだ。

新しい挑戦への期待とともに、これまでの担当への名残惜しさ、そして社内体制への懸念など、複雑な思いを抱えながら、丸尾くんは本社への異動日に向けて準備を進めた。

お知らせ

 《この物語の学びを、貴社の力に》

 得意先との関係や商談履歴が担当者の頭の中だけにある。それは個人の問題ではなく、組織の問題です。貴社の営業チームは、担当者が変わっても得意先との関係を継続できる仕組みを持っていますか。

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丸尾くんと一緒に、もっと深く学びたいあなたへ

この物語の続きは、書籍でお楽しみいただけます。

引き継ぎトラブル、バイヤーとの関係再構築、組織を動かす卸連携、そして上層部を巻き込んだトッププレゼン。丸尾くんが担当した本部で直面したリアルな壁とチームで乗り越えるプロセスを、物語を通じて体系的に学べる一冊です。

アカウントマネジメントの考え方と実践プロセスが、現場で即活かせる形で凝縮されています。

次回予告

慌ただしい引き継ぎを終え、いよいよ本社へ!新しい部署で丸尾くんを待っていたのは、思いがけない人物との再会、そして前任者からの衝撃的な引き継ぎだった…。

次回、「【本社での引き継ぎ】前任者の急な退職!引き継ぎから学ぶ情報共有の問題」お楽しみに!