
あなたは、得意先・バイヤーと良い関係を築けていますか?
ハトー屋との信頼関係再構築プロジェクト「堅牢盤石」は、カテゴリーPL改善という具体的な課題設定を終えた。次の重要なステップは山葉バイヤーとの関係構築だ。
前任者の佐藤さんの件でハトー屋と丸閥食品の信頼関係は今、良い状態とは言えない。
この状況をどうにか改善しなければ、どんなに良い提案をしても受け入れてもらえないだろう。
藤原課長から、「営業活動と並行して、丸尾と山葉バイヤーの関係構築についても考えておくように」と宿題が出た。カテゴリーPL改善という具体的な目標はできたが、人間関係の構築という正解のない、そして最も難しい課題に丸尾くんは戸惑いを隠せなかった。「どうすれば山葉バイヤーとの間に再び信頼関係を築くことができるのだろう・・・」
一人で考え込んでいると、ふと、以前の作戦会議で角井さんが話していた言葉が頭をよぎった。「バイヤーとの接触頻度増加…ザイアンスの法則の活用」
「そうだ、ザイアンスの法則だ…」丸尾くんは呟いた。しかし、その法則が具体的にどういうものだったか、改めて考えてみると、まだ腹落ちしていないことに気づいた。
ちょうどその時、角井さんが通りかかった。「角井さんすみません、少しだけいいですか?以前、プロジェクト堅牢盤石のステップで教えていただいた『ザイアンスの法則』について、もう少し詳しく教えていただけませんか?」
角井さんはにっこりと微笑んだ。「いいわよ。丸尾くん。ザイアンスの法則は以前はなした通り『単純接触効果』とも言うんだけど、これは関係構築の基本よ」
彼女はホワイトボードに簡単な図を描きながら説明を始めた。「人は、全く知らない相手には警戒心を抱くけれど、たとえ短い時間でも何度も繰り返し顔を合わせたり連絡を取ったりすることで、次第にその相手に親近感や好意を抱くようになるの。これがザイアンスの法則。大切なのは、一回の商談の重さよりも、ポジティブな『接触の回数』なのよ」
「なるほど…!だから、接触頻度を増やすことが重要なんですね」
「その通り。じゃあ、そのザイアンスの法則を応用して、忙しい山葉バイヤーとの接触回数を増やすには、具体的にどんな方法が考えられるかしら?」
角井さんからの問いかけを受け、丸尾くんは具体的な方法を考え始めた。
「う~ん。バイヤーが求めるセールスパーソンになる?」
「あ!これだ!」
丸尾くんは閃いた。ハトー屋との関係が悪い今、いきなり難しい商談をするのはハードルが高い。
まずは、接触回数を増やしつつ山葉バイヤーがどのようなセールスを求めているのか把握していこう。
その中で、自分という存在を意識してもらい少しずつ警戒心を解いてもらうことから始めるのが現実的ではないか。
よし、まずはバイヤーがどんなセールスを求めているか情報収集から始めよう。

ザイアンスの法則を応用!バイヤーとの接触頻度を増やす具体的な4つの方法
とはいえ、バイヤーは非常に忙しい。アポイントなしに訪問したり、頻繁に長時間の商談をお願いしたりすることはできない。丸尾くんは、アポイント以外の方法で山葉バイヤーと接触する手段を具体的に考えてみた。
- 卸(三国食品)経由: ハトー屋の担当者である鈴木さんと接触頻度を増やす。特に鈴木さんから山葉バイヤーに関する情報収集する提供してもらったり、こちらの状況を伝えてもらったりする。
- 電話: 定期的な挨拶、商品の納品状況や店頭での展開状況に関する簡単な報告や確認。商談で決まったポイントの確認など要点をまとめて短時間で済ませる。もし不在の場合は、留守電にメッセージを残す。
- メール: 競合チェーンの動向や、山葉バイヤーの担当カテゴリーに関する業界情報などバイヤーにとって有益な情報を定期的に提供する。商品の新着情報や販促提案なども簡潔にまとめて送る。
- 郵便/FAX: 新商品のサンプルなどを送付する際に挨拶だけでなく情報提供も追加する。
丸尾くんは、これらのコミュニケーション手段を活用した具体的な内容を書き出した。
考えた案を藤原課長に見てもらいアドバイスを貰った。
「丸尾くん、よく考えたね。良いアプローチだと思うよ。」
藤原課長は、それぞれの手段について実践的なアドバイスをくれた。
「電話は、相手の時間を奪わないように要件をまとめて手短にね。メールは、情報過多にならないようにバイヤーにとって本当に価値のある情報だけを選んで送るように心がけよう」
個人の活動から組織戦へ。信頼回復を加速させる「上司の巻き込み方」
さらに、藤原課長は続けた。「これらの活動と並行してアカウントマネジメントのステップにある『上司を巻き込む』ことも重要だ。君一人で関係を構築するのは難しい局面もあるだろうから、伊藤部長や私、そして三国食品さんの上層部にも関わってもらうことで、会社としての真剣な姿勢を示すことができるしよりフラットな関係を目指せる」

角井さんからも、この「上司を巻き込む」ことの重要性についてアドバイスを受けた。
「丸尾くん、情報収集ももちろん大事だけど、それだけでは深い信頼関係は築けないわ。特に今回は、前任者の問題でハトー屋さんから会社としての信頼も損なっている。だからこそ伊藤部長や藤原課長といった上司、そして三国食品さんの上層部にも協力してもらって、会社対会社、部署対部署としての関係を再構築していくことが必要なの」
「上司を巻き込む…」丸尾くんは、具体的なイメージがまだ湧いていなかったが、角井さんと藤原課長の言葉から、このステップが信頼回復プロジェクトにおいて非常に重要な意味を持つことを理解した。
早速できることから実行に移そうと丸尾くんは一歩を踏み出した。
《この物語の学びを、貴社の力に》
関係構築の本質は、一回の商談の重さではなく接触回数の積み重ねです。電話・メール・卸経由など、アポイント以外の接触手段を意識的に設計できる営業担当者は、バイヤーとの距離を着実に縮めていきます。貴社の営業担当者は、得意先との接触頻度を意識的に高めていますか。
丸尾くんと一緒に、もっと深く学びたいあなたへ
この物語の続きは、書籍でお楽しみいただけます。
引き継ぎトラブル、バイヤーとの関係再構築、組織を動かす卸連携、そして上層部を巻き込んだトッププレゼン。丸尾くんが担当した本部で直面したリアルな壁とチームで乗り越えるプロセスを、物語を通じて体系的に学べる一冊です。
アカウントマネジメントの考え方と実践プロセスが、現場で即活かせる形で凝縮されています。
今回の登場した「ザイアンスの法則」より深い意味と、ザイアンスの法則が食品メーカーの営業活動でどのように活用すればいいのかについて、こちらの解説ページで詳しく掘り下げています。
次回予告
「上司を巻き込む」という次のステップに頭を悩ませる丸尾くん。一体どうやって、どんな目的で上司を巻き込めばいいのか? そんな彼に、帳合の三国食品の鈴木さんが、驚くべきアイデアを提案してくれる。このアイデアが、プロジェクトを大きく動かすことになる…!
