新連載「800字の仕事術」数字に強い営業になる 第5回「AAR(振り返り):その「でも」が、あなたの成長を止めている」をアップしました ! !  〜 第10回まで現場で使える「数字」のコツやヒントを解説します☝️

中級編 第7話 【バイヤー貢献】バイヤーの信頼を勝ち取るカテゴリーPL改善3つの視点

「自社の売上」から「バイヤーの評価」へ。信頼を勝ち取るカテゴリーPL改善という一手

バイヤーの評価基準や関心事を理解していますか?

ハトー屋との信頼関係再構築プロジェクト「堅牢盤石」。
その最初のステップは、「目先の業績回復」だ。ただし、これは丸閥食品の業績ではなく、得意先であるハトー屋の業績を改善すること。具体的には、担当カテゴリーの売上や粗利を向上させることが、バイヤーである山葉さんの評価に直結し、信頼回復の第一歩となるのだ。

「丸尾くん、目先の業績回復といっても、丸閥食品の業績ではないってわかるよね?」

角井さんからの問いかけに、丸尾くんは一瞬戸惑った。「あ、あぁ、そうですね」と曖昧に答えてしまったが、すぐに理解した。自分たちの商品を売るだけでなく、得意先であるハトー屋のビジネス全体に貢献する視点が重要なのだ。

藤原課長が補足してくれた。「バイヤーの業績評価は、担当カテゴリー全体の売上や粗利であることが多いんだ。だから、われわれの提案がカテゴリーの業績を上げてあげることが、山葉バイヤーにとって一番のメリットになる。それが信頼回復に繋がるんだ」

丸尾くんは、早速ハトー屋の当該カテゴリーについて、店舗や売場を徹底的に調査することにした。
角井さんから教わったストアチェックの経験が活きる時だ。
ハトー屋の店舗だけでなく、競合チェーンの店舗も視察し、品揃え、価格帯、売場レイアウト、販促活動などを詳細に分析した。

調査結果を持ち寄り、藤原課長と角井さんを交えて話し合った。

「ハトー屋さんの当該カテゴリーの売場が、レイアウト上で周りのカテゴリーとの関連性が低く、お客さんから見ると買い回りしにくいように感じました」と丸尾くんは報告した。
「それに、競合チェーンと比較して、用途や客層が重複しているアイテムが多い点も気になりました。過去の記録を調べると販促頻度も高いようですが、効果が出ているのか疑問です」

藤原課長は、丸尾くんの調査報告に目を通し「よく調べたな、丸尾」と評価してくれた。
「ここから何を見出して、具体的な施策に展開するかが腕の見せ所だな」

角井さんは、忙しい業務の合間を縫って、ハトー屋の3C分析(Customer:顧客、Competitor:競合、Company:自社)を行ってくれていた。

その分析結果と丸尾くんの売場調査を踏まえ、カテゴリーの利益改善に向けて取り組むべき課題を以下の3点に設定した。

ストアチェックから見えた、カテゴリー改善の3つの突破口

  1. 売場の場所の変更: 関連性の高いカテゴリーの近くに移動させることで、お客様の買い回りを改善する。
  2. 用途や客層が重複している商品の見直し: 品揃えを最適化し、その他の品揃えで競合との差別化を図る。さらに店舗にとっても在庫効率の良い売場にする。
  3. 過度な販促の見直しと販促効率の改善: 闇雲に販促を行うのではなく、目的を明確にし、効果的な販促手法やタイミングを検討する。

これらの課題について、角井さんはさらに詳しく説明してくれた。

「これを行うことでカテゴリーPLの改善を目指す。丸尾くんカテゴリーPLってわかる?」
「はい。えっとカテゴリーの損益(収支)を改善するということですよね?」 
角井さんはコクリと頷いて続けた。

「売場が分かりにくいというのは、お客様が商品を見つけにくい、つまり『発見』や『関心』のステップが機能していない可能性があるわ。関連性の高いカテゴリーの近くに売場を移動させることで、お客様の購買動機に沿ったスムーズな買物を実現できるかもしれない」。
「重複商品の見直しは、棚割りの基本である『品揃えの最適化』に関わるわね。チェーンの方針やターゲット客層、そして競合店の状況を踏まえて、ハトー屋さんにとって最も効率的で、かつお客様のニーズを満たす品揃えを検討するの」
 「販促については、単に安売りをすればいいというものではないわ。販促の目的は何なのか、誰に、何を伝えたいのかを明確にして、効果測定を行いながら改善していく必要があるわ」。

角井さんの的確なアドバイスに、丸尾くんは深く頷いた。
バイヤーの評価に貢献するためには、自分たちの商品を売るだけでなく、得意先のビジネス全体を理解し、具体的な改善策を提案していく力が必要なのだ。

藤原課長は、「これらの課題に対して、どのように営業活動を進めていくか、具体的なアクションプランを立てていこう」と促した。

丸尾くんは、チームで設定したこれらの課題を解決することが、ハトー屋との信頼関係再構築への重要な一歩となることを確信していた。

次回予告

次回は通常の連載を少しお休みし、【特別企画】をお届けします!
ブログ未公開の書き下ろし『営業の教科書 提案書の作り方9つのポイント』より、物語の導入となる第1話と実践ドリルを特別に全文公開!
商談で成果を出すための“最初の気づき”が詰まった、丸尾くんの新たな成長ストーリーです。ぜひお楽しみに!

次回「【特別企画】提案書の作り方9つのポイント第1話:得意先を深く知る|3C✕6P分析で商談準備は9割決まる」お楽しみに

(※中級編・第8話は、特別企画の翌週に更新しています)