
普段の商談と異なる棚割りの提案とは?
数日後、朝、事務所に出社すると、いつもより明るい角井さんの姿がありました。
「おはよう。丸尾くん、出社早々だけどちょっといいかしら?」
角井さんに呼ばれて別室に入ると、そこには本田先輩もいました。
何事かと尋ねると、ハッピーチェーンの三角バイヤーから、新店舗の棚割りの提案を依頼されたとのこと。
「新店舗の棚割り…ですか?」
丸尾くんは、初めて聞く言葉に戸惑います。
「そう。ハッピーチェーンが新店舗をオープンするんだけど、新店舗の棚割りを提案して欲しいって依頼されたの!」
角井さんは、嬉しそうに説明します。

「新店舗…どんなお店になるんですか?」
「再開発地域の新店舗で、ターゲットは、近隣マンション群に住む共働きのヤングファミリー層。
ハッピーチェーンとしても初めての試みで、革新的なお店を目指しているそうよ」
角井さんは、更に続けます。
「これは、私たちにとってビッグチャンスよ。絶対に獲得にしたい!」
目の前の仕事に真剣に取り組む姿勢は、大手メーカーで営業していた時と全く変わりません。
「丸尾くんも一緒にアイデアを考えてくれる?」
角井さんに声をかけられ、少し緊張しながらも、丸尾くんはプロジェクトに参加することになりました。
「では、まず、棚割りの基本から説明しましょう」
角井さんは、ホワイトボードに書きながら説明を始めました。
理想的な棚割り提案で持つべき「3つの視点」
「棚割りは、ただ商品を並べればいいってもんじゃないの。3つの重要なポイントがあるわ。
まず、お客様にとって見やすく、選びやすく、手に取りやすいこと。
次に、店舗にとって売上と利益が上がり、補充などの手間が掛からないこと。
そして、私たちメーカーにとっては、商品が売れること。
この3つの視点のバランスを取るのが、理想的な棚割りよ」
「なるほど…」
丸尾くんは、初めて知る棚割りの奥深さに驚きました。
棚割り提案を成功に導く「3つのステップ」
「棚割り作業は、グルーピング、ゾーニング、フェイシングというプロセスで進めていくの。
その棚割り作業の前に、ハッピーチェーンの品揃えに関する方針を把握する必要があるわ。
次に、既存店や競合店の棚割りや品揃えを比較する。丸尾くんここまではイメージできる?」
急に聞かれた丸尾くんは「はい」と慌てて答えた。
「ある程度、売場の状況を把握してからPOSデータ分析ね。今回は新しい立地への初めての出店なのでPOSデータは参考値なんだけど、POSデータ分析から売れ行きが悪い商品などの問題点を特定できれば、売場側に要因がないか照らし合わせて改善策を検討するというのが一般的な進め方ね」
「POSデータ分析は、本田先輩が担当してくれるわ」
角井さんの言葉に、本田先輩は頷きました。

「私、 システム会社出身で、データ分析は得意分野なんです」
丸尾くんは、自分や角井さんと異なるキャリアを持つ本田先輩が営業部にいることに改めて驚きました。
「データ分析と並行して競合チェーンの棚割りも分析して評価する必要があるわ。
競合チェーンの戦略を調査することで、新しいアイデアのきっかけになるし、差別化を明確にすることもできる」
「今回は、丸尾くんに競合チェーン分析をお願いしたいの。新店舗周辺の競合店舗を訪問して売場レイアウトや棚割り、品揃え、価格帯、販売促進などを確認してレポートしてくれる?」
「はい! 頑張ります!」
丸尾くんは、競合店調査という重要な役割を任され、少し緊張しながらも、やる気に満ち溢れていました。
棚割りに生かす競合調査|最も重要なポイント
「競合店調査のキーポイントは、それぞれのチェーンの方針を推測すること。
以前オーインを視察した時に話したけど、店舗には立地があって、立地が客層を規定して、その客層に合わせてプランするって話したでしょ?
これをチェーン全体で実施して自分たち(チェーン)がどんな客層に、どんな商品や価値を提供するのか大きな方向性を示したものが方針よ。その方針を理解することで効果的な競合店調査ができるのよ。」

角井さんの言葉に、丸尾くんは真剣に耳を傾けメモを取ります。
「ハッピーチェーンは、グルーピングとゾーニングを重視しているから、競合店調査を行う際も、特にその2点に注意して調べてくれる?」
「はい!」
「再度確認するけど、今回の新店は都心型の店舗で、ターゲットは近隣マンションに住む共働きのヤングファミリー層。 ハッピーチェーンにとっても初めての立地でチャレンジだそうよ。
だから、 従来の考え方に囚われない新しい提案を期待していると三角バイヤーが仰っていたわ。」
丸尾くんは、メーカー営業には実に様々な業務があることを改めて感じました。
そして、三角バイヤーからの大事なリクエストに、角井さん、本田さんと共にチャレンジできることを嬉しく感じていました。
《この物語の学びを、貴社の力に》
競合店調査、POSデータ分析、そしてそれらに基づく論理的な棚割り提案。角井さんたちは、チームで役割分担することでこの高度なミッションに挑みます。
貴社の営業チームにも、このような「分業体制」を築き提案の質を劇的に向上させたいとお考えではありませんか?
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次回予告
角井さんの挑戦! いよいよプレゼンテーション!…の前に、重要な準備があります。
それは一体?