25年の営業支援実績から生まれたコラムシリーズ。現場で今日から使えるヒントを800字に凝縮した「 800字の仕事術 」。現在、第3シリーズ「提案書作成術」について解説しています!  提案書作成術 第2話 「PREPは話し方ではない?提案を構造化するセルフチェック術」 アップしました。

営業×AI 第2話【対話の作法】AIとの対話は、バイヤーとの対話と同じだ

「AIを上手に使いこなすには、正しいプロンプトを書けないといけないのでは」と思っている営業担当者は多い。しかしそれは誤解だ。

プロンプトとは、AIへの話しかけ方のことだ。特別な言語でも、決まった形式でもない。

相手に伝わるように言葉を選ぶ。それだけのことだ。

バイヤーとの商談を思い出してほしい。

初めて会うバイヤーに対して、いきなり核心を突いた質問はしない。

まず相手の状況を確認する。言葉を選びながら、相手が同じ視点に立てているかを確かめる。

話が噛み合わなければ、言い方を変える。相手の反応を見ながら、少しずつ対話を深めていく。

AIとの対話もこれと全く同じことをすればいい。

AIには五感がない。だからこそ、言葉に背景を込める。

ただし、AIには五感がない。商談の場で伝わる表情や声のトーン、空気などはまったく伝わらない。与えられた言葉だけが全ての情報。それがAIだ。
だからこそ人との対話以上に、背景・目的・状況を丁寧に伝える必要がある。

「提案書を作って」ではなく「来週のバイヤー商談で新カテゴリーの導入を提案したい。バイヤーは今期コスト削減を最優先にしている。この状況でどんな切り口が有効か」と伝える。

情報が増えるほど、AIの返答の質は上がる。

そしてもう一つ、重要なことがある。AIが返してきた答えが正しいかどうかを判断できるのは、あなたの知見だけだ。

AIは自信を持って間違える。

当然ながら、業界の文脈も、バイヤーとの関係性も、過去の商談の経緯も全く知らない。

あなたの経験と知識だけがフィルターになる。

AIとの対話は、あなたの知見があって初めて機能するのである。

プロンプトの技術より、あなた自身の経験の方がずっと重要だ。

営業担当者がAIを使いこなすために必要なのは、プログラミングの知識でも特別なスキルでもない。

バイヤーと対話してきた、その経験そのものだ。

次回予告  

営業×AI 第3話【本音の読み方】得意先の本音は、お金の動きに隠れている。

バイヤーは本音をそのまま言わない。経営者も同じだ。得意先の決算資料をAIで読み込むと、言葉の変化とお金の動きの乖離が見えてくる。そこに本音が隠れている。次回はその具体的な方法を書いていく。