
あなたは、商談のロールプレイングをしたことがあるだろうか。
上司や先輩、同僚にバイヤー役を頼んで、提案を事前に練習する。
有効な商談準備だが、頼める相手がいつもいるわけではないし、時間を合わせるのも難しい。
また遠慮が生まれて、鋭い指摘が出てこないこともある。
「まあ、これで大丈夫じゃないか」という空気の中で終わってしまうロールプレイングに、いったいどれだけの意味があるだろうか。
商談の場で、バイヤーの前に立って初めて準備の甘さに気づく。それでは遅すぎる。
AIを活用すればその問題が全て解消される。時間も場所も相手も関係ない。
いつでも何度でもAIを相手にしてロールプレイングができる。
忖度しない最強の練習相手、AIバイヤーを作る
担当バイヤーの優先課題・商談のクセ・よく使う言葉・こだわりをAIに与える。
知っている情報を全て与えるほど精度が上がる。
「あなたはXチェーンの食品部門バイヤーです。今期はコスト削減が最優先課題でSKU削減が基本方針です。そのため新規導入には慎重で、必ず他チェーンでの成功事例を求めます。提案が自社の数字に直結しない場合は、すぐに興味を失います。価格にはシビアで、競合他社の価格をよく持ち出します」
こうした設定を丁寧に与えるほど、AIバイヤーはリアルに近づく。
バイヤーとの過去の商談メモがあれば、それも渡す。情報が多いほど精度は上がる。
そして、ロールプレイングをスタートする。AIはポジティブな返答をするように設計されているので、「厳しい指摘を」「提案のツッコミどころを指摘して」など返答の条件を必ず設定する。
すると、「またこのパターンの提案ですか」
「うちにとってのメリットが見えません」
「今期はSKU削減の方針なので新商品は一律で取りやめです」
「じゃあ、一番売れる味だけでいいよ」など
強い否定も鋭い指摘も容赦なく返してくる。
上司や同僚へのロールプレイングでは絶対に出てこない言葉が、AIバイヤーからは返ってくる。
その言葉に答えを考え、シナリオを練り直す。再びAIバイヤーにぶつける。
この繰り返しの中で提案の弱点が一つずつ潰れていく。
想定外を想定内に変える。
それがAIを使った商談ロールプレイングの本質だ。
実際の商談の場でバイヤーに驚かされる前に、AIバイヤーに驚かされておくことが大事だ。
準備の質が上がれば商談の質が上がる。商談の質が上がれば、結果が変わる。
次回予告
第6話【記録の設計】どんな商談記録を作るか、AIと相談してみる。
商談後のメモが後で役に立たない。そんな経験はないだろうか。問題はメモの量ではなく、設計だ。次回は、AIと相談して商談記録の項目を設計する具体的な方法を書いていく。