提案書作成術 第7回 「なぜそう言うのか?バイヤーの反論を”要因分析”する技術」 アップしました。

提案書作成術 第7回 なぜそう言うのか?バイヤーの反論を「要因分析」する技術

反論の言葉だけで解決策を決めない

第6話では、商談前にバイヤーから返ってくるであろう反論を4つの視点で整理し、「最大の障害」を仮説として1つに絞り込む方法についてお話ししました。

例えば、次のような反論が予測できたとします。

今回の新商品は、コンセプトは面白いけれど、まだ販売実績がないよね。もし売れ残ったら困るから、今回は見送らせてほしい。

販売実績の不足を理由とした反論を予測できたら、次に行うのが、その反論の裏にある「要因分析」です。

バイヤーが口にする「実績がないから不安だ」という言葉に対して、

なぜ、バイヤーはそう言うのだろうか?

と、その背景を4つの視点から深く考えます。

この要因分析が、「決めの1枚」の質を左右します。

要因分析が浅いままでは、どれだけ見栄えのよいスライドを作っても、バイヤーの懸念に応えることはできません。

例えば、「実績がない」という反論に対して、

開発に時間をかけた自信作です。

アンケート調査では、消費者から高い評価を得ています。

と、メーカー側の熱意や商品の特徴を並べるだけでは、バイヤーが抱く不安への答えになっていない可能性があります。

アンケート結果は有効な補足資料になり得ます。しかし、バイヤーがなぜ販売実績の不足を懸念しているのかを考えずに示しても、メーカーが伝えたいことを並べた「カタログ型提案書」の域を出ません。

「なぜそう言うのか」を4つの視点から考える

一歩踏み込んで、「販売実績がないこと」をバイヤーが懸念する要因を、異なる視点から分析してみます。

例えば、次の2つの仮説が考えられます。

要因A:バイヤー・得意先の要因

直近のカテゴリー売上が伸び悩んでいるため、売れる確証のない商品を導入するリスクを避け、まずは手堅く数字を維持したいのではないか?

要因B:外部環境の要因

他社からも似たコンセプトの新商品が提案されており、どれも同じような商品に見えるため、どの商品を優先して棚に入れるべきか迷っているのではないか?

同じ「実績がないから不安」という反論でも、その背景にある要因は異なります。

なお、この段階で考えた要因は、まだ正解ではありません。第5話で集めた現場情報と照らし合わせながら、可能性の高い仮説を立てることが大切です。

要因が変われば「決めの1枚」も変わる

反論の背景にある要因が異なれば、準備すべき「決めの1枚」の内容も変わります。

もし、要因Aの「手堅く数字を維持したい」が背景にあると考えた場合は、販売目標を売場でイメージできる数字まで分解します。

第4話で紹介した、

1日1店舗あたり約0.17個
=1店舗あたり6日に1個

という目標を示したうえで、低回転商品との差し替えや具体的な販促プランを組み合わせます。

これにより、

売上の下振れリスクを抑えながら、カテゴリー売上の上積みを目指せる

という、バイヤーが検討しやすいロジックを組み立てます。

一方、要因Bの「他社新商品との重複」が背景にあると考えた場合は、商品の良さだけを競っても十分ではありません。

例えば、

他社の新商品は若年層を主なターゲットとしています。一方、当社の新商品は、貴社の駅前店舗に多いシニア層を対象としています。

というように、競合商品との違いと、得意先の売場に導入する理由を整理した比較スライドを準備します。

つまり、同じ反論に対しても、次のように対応が分かれます。

  • 売上の下振れを避けたいなら、実現可能な販売目標と実施プランを示す
  • 他社商品との違いが分からないなら、ターゲットや売場での役割を比較する

反論の言葉だけを見て解決策を決めるのではなく、「なぜそう言うのか」を深掘りすることで、準備すべき「決めの1枚」の方向性が明確になります。

バイヤーの反論を、その言葉どおりに受け取るだけでは不十分です。

4つの視点を使いながら、得意先の売場やカテゴリーの状況、競合メーカーの動向などに目を向け、反論の背景にある要因を仮説として考える。

この要因分析が、バイヤーの懸念に応える「決めの1枚」をつくるための材料になります。

そして、単なる売り込みではなく、

この営業は、当社(得意先)の現実を理解しようとしている。

と感じてもらえる提案につながっていきます。

次回予告

提案書作成術 第8回:「口頭説明はNG?提案の障害をメリットに変える『決めの1枚』

反論の背景にある要因を分析したら、次は、そこから導き出した解決策をバイヤーのメリットに言い換えます。

次回は、バイヤーが商談後に社内で採用理由を説明できるように、解決策を「決めの1枚」として提案書に落とし込む方法についてお話しします。分かって伴走してくれている」という厚い信頼を得るための、確かなステップになります。