
バイヤーの優先課題は時間の経過とともに変わる。
半年前は売場拡大に積極的だったバイヤーが、今はSKU削減一辺倒になっていることがある。
バイヤー自身が変わっていなくても、会社の方針が変わればバイヤーの言葉は変わる。
その変化に気づかず、同じ提案を続けている営業担当者は多い。
変化に気づかない提案は、どれだけ丁寧に作っても的外れになる。
蓄積された商談記録をAIで整理すると、バイヤーの発言の変化が見えてくる。
「3ヶ月前と比べて、バイヤーが使う言葉はどう変わったか」と問いかける。
売場・数字・関係性への言及がどう変化したかが整理される。
しかし変化を確認したら、あなたにしてほしいことがある。「なぜ変化が起きたのか」を考えることだ。
変化の理由は大きく2つある。
一つはバイヤー個人の優先課題が変わったケース。
もう一つは会社や商品部の方針が変わっているケースだ。
この2つは似ているようで全く異なる。
個人の優先課題であれば、バイヤーとの対話で解決の糸口が見つかる。
しかし本部方針であれば、バイヤーに働きかけるだけでは限界がある。
どちらのケースかによって、次の一手が変わる。
バイヤーへの直接確認だけでは不十分だ
ではどう確認するか。バイヤーに直接聞くだけでは不十分だ。
バイヤー自身が本部方針を意識せずに動いていることもある。
そこで有効なのが、他のメーカーや卸からの情報だ。
「最近、このチェーンの方針が変わった気がしますが、どう感じていますか」と、それとなく確認する。
複数の情報源から同じ変化が見えてきたとき、その確からしさが高まる。
卸の営業担当者、他メーカーの営業担当者、売場の変化。三方向から同じ変化が見えたとき、それは確信になる。
変化の理由が見えたとき、初めて次の提案の設計ができる。
先読みは勘ではない。記録の蓄積と、複数の情報源による確認から生まれる。
その先読みができる営業担当者が、バイヤーから「この人はわかっている」と思われる存在になる。
次回予告
第11話【商談の検証】採用されなかった理由を、AIバイヤーと解剖してみる。
提案が採用されなかったとき、「価格が高かった」「タイミングが悪かった」で終わらせていないだろうか。重要なのはなぜダメだったかではない。どうすれば採用されたのかを考えることだ。次回は、AIバイヤーを使って不採用の提案を複数の角度から検証する方法を書いていく。