
あなたは商談が終わった後、その商談の振り返りをしているだろうか。
次の訪問先へ急ぐ。日報を書く。上司に結果を伝える。それだけで一日が終わっていないだろうか。
しかし、「なぜうまくいったのか」「なぜバイヤーに刺さらなかったのか」を立ち止まって考える時間はあるだろうか。
忙しい毎日の中で、商談の振り返りは後回しになりがちだ。
しかし経験は積むだけでは学習にならない。内省して初めて学習になる。
AARという振り返りのフレームがある。After Action Reviewの略で、もともとは米軍が採用した手法だ。4つの問いで構成されている。
・「何をやろうとしたのか」
・「実際はどうだったのか」
・「なぜ差が生まれたのか」
・「次はどうするのか」
シンプルだが、この順番で問いに答えていくと、経験が学習に変わる。
AIを商談の振り返り(AAR)の対話相手にする
具体的な場面で考えてみる。
バイヤーに新商品の導入を提案したが、「検討します」で終わった商談だ。
AIにこの商談の記録を渡して、AARの問いを一緒に深めていく。
・「何をやろうとしたのか」⇒新商品の導入を提案し、バイヤーの関心を引き出すつもりだった。
・「実際はどうだったのか」⇒バイヤーは資料をざっと見ただけで、具体的な質問は出なかった。
・「なぜ差が生まれたのか」⇒ここでAIが問いを返してくる。「バイヤーの優先課題と、この提案はどこが噛み合っていなかったと思いますか」
その問いに答えていく中であなたはいろいろなことに気がつく。
バイヤーは、今期SKU削減の方針に沿ってSKU数を減らそうとしていたのに、自分の提案はSKU数の増加を前提にした内容になっていた。
つまり、得意先の方針を無視した提案をしていた。
「次はどうするのか」まず得意先の方針を正しく把握し、方針に沿った切り口で提案を組み直す。
AIに答えを出してもらうのではない。
AIを対話の相手にして、自分で答えを出すのだ。
AIの問いに答えていく中で、自分では気づかなかった視点が生まれる。
商談直後の5分間の内省が、積み重なって大きな差になる。経験を学習に変える速度が、成長の速度だ。
次回予告
営業✕AI 第9話【蓄積の力】メモが溜まると、景色が変わってくる
一回の商談記録はただのメモだ。しかし半年分蓄積されると、それは全く別のものに変わる。バイヤーの思考のパターン、口癖、意思決定の癖が見えてくる。次回は、記録の蓄積がAIバイヤーの精度を上げる理由を書いていく。