
PREPの骨子を基準にスライドを見直す
第2話では、提案の起点をメーカーからバイヤーへと移し、相手の頭の中にある「3つのなぜ」に答えられているかをPREPで点検する方法についてお話ししました。
PREPで提案の骨子が明確になったら、次は手元にある「カタログ型提案書」のスライドを見直します。ここで必要になるのが、情報の「引き算」です。
情報が多いほど説得力が増すとは限らない
マーケティング部門が用意してくれた立派な市場分析や、詳細な消費者データ、競合比較のグラフ……。「情報が多い方が説得力が増すはずだから」と、すべてのスライドを詰め込みたくなる気持ちはよく分かります。
私が支援する現場でも、営業の皆さんに「このスライド、巻末に移しましょう」と提案すると、決まって「商談時間が余るのが怖くて削れない」という本音が返ってくることがあります。
しかし、私の経験上、バイヤーが退屈するのは、資料が少ないときではありません。自分に関係のに説明を、延々と聞かされているときです。
資料の多さが、提案の説得力を高めるとは限りません。むしろ情報が多すぎることで、本当に伝えたいことが埋もれてしまう場合があります。
PREPの骨子を基準にスライドを見直す
手元にあるカタログ型提案書のスライドを1枚ずつ見ながら、PREPで組み立てた骨子をもとに、こう問いかけてみてください。
このスライドは、今回のPREPの骨子に沿って商談を進めるために、本当に必要だろうか?
もし商談のストーリーに直接つながらないのであれば、どれほど優れたデータであっても、本編からは思い切って外します。
ただし、すべて削除する必要はありません。バイヤーから質問されたときに使えそうな資料は、「巻末資料(アペンディックス)」へ移しておきます。
本編に残すか、巻末へ移すか。その判断基準は、今回の商談目的とPREPの骨子に必要かどうかです。
そして、本編に残すスライドも、1枚に込めるメッセージは1つに絞ります。
PREPの骨子に直接つながらない資料を本編から外し、今回の商談に必要な最小限のスライドだけを残していきましょう。
引き算が「対話」の時間をつくる
この引き算ができると、資料がすっきりするだけではありません。
営業担当者は、「資料をめくって説明するだけの忙しい15分」から解放されます。
手元に残った必要最小限のスライドを使いながら、バイヤーの表情や反応を確認し、その言葉に耳を傾ける余裕が生まれます。引き算によって生まれた時間を、目の前のバイヤーとの「対話」に使えるようになるのです。
情報を減らすことが、結果として、営業担当者が本来持っている「伝える力」を引き出すことにつながります。
手元の資料をPREPの骨子に沿って見直し、不要なスライドを本編から引き算する。そこから、自分たちの商談の型をつくっていきましょう。
次回予告
提案書作成術 第4回:売上105%を『1日1店舗〇個』に分解する技術
PREPの骨子に沿って不要なスライドを引き算したら、次は「E(具体例)」の解像度を高める番です。
「カテゴリー売上105%」といった大きな目標を、「1日1店舗あたり何個売れば達成できるのか」という、バイヤーが売場でイメージできる数字に分解する方法についてお話しします。